こんにちは、ベース講師の高橋和明(@KAZUAKI_virgiL)です。
ベーシストのためのメトロノームを使ったリズム感絶対矯正講座。
今回のテーマは
「音(ノート)の長さを意識する練習」です。
リズム感の悪い人は、音価を短く捉えすぎているのが主な原因です!
1小節のなかでひとつの音符に与えられている枠の長さというのは、じつは僕たちが思っている以上に長いんです。
この枠をめいっぱい使えるようになることが、リズムのグリッドを正しく捉えられるようになるためには重要になってきます。
今回の記事は、その入口の部分。
音の長さを正しく意識できるようになるための基礎練習を紹介します。
音(ノート)の長さを意識するための基礎知識
音の長さを正しく捉えられていない場合
1.ノートが短過ぎるケース
高校生バンドさんなどにありがちな演奏。
音を出すことに夢中で、音を止めるタイミングを見失いがちです。
プロの現場でこのような演奏をすると「若いなぁ(笑)」なんて笑われてしまいます。
ひとつの音符の長さは、自分が思っているよりも遥かに長いものです。
次の音符に差し掛かるギリギリまで、目一杯ノートを伸ばしてあげるようにしましょう。
頭拍を捉えることに集中しすぎて、ノートの終わりに対する意識が疎かになってしまっている状態ですね。
2.ノートが長過ぎるケース
裏拍のリズムが疎かになっている人にありがちな演奏。
身体の中で音符を細かく取れていないと、この状態から抜け出せません。
悪い意味で「腰の重い演奏」などと言われてしまいます。
演奏の真髄は音(ノート)を正しい位置で切ることにあります。
音を理想のタイミングで止める練習をしてみましょう!
ノートの長さを意識する練習
練習推薦BPM=120〜
今回は、こんな感じの練習フレーズを用意してみました!
ドラムトラックを使った練習
実戦的に考えてみると、一番汎用性が高いとされる音を切るタイミングはスネアドラムの位置です。
1つ目・3つ目のEの音をドラムのスネアによって切断される感覚で演奏してみましょう。
例えば、1拍目頭のEの音。
2拍目の休符に差し掛かるギリギリまで音を伸ばしてみましょう。
3拍目裏のEの音も同様です。
4拍目の休符に入るまで、しっかりとノートを伸ばして演奏してください。
メトロノームを使った練習
こちらは「スネアの位置でメトロノームを鳴らす練習」の記事の応用になります。
2拍目・4拍目の頭=スネアの位置でメトロノームのクリックを鳴らしてあります。
今度はクリックの音にノートをさえぎられる感覚で、演奏してみましょう。
ドラムトラックをミュートした練習
上の項目の練習から、ドラムトラックをミュートしてみました。
メトロノームの設定がBPM=60、2拍4拍でクリックが鳴っています。
自分が音を切るタイミングとクリックが鳴るタイミングを合わせるように演奏してみましょう!
メトロノームをこの鳴らし方で使用すると、裏を取る基礎練習にもなりますね!
手拍子を誘導するのはベーシストの仕事
「観客の手拍子を裏に誘導できなければベーシストとしては半人前」という話を聞いたことはありますか?
例えば。
Have You Ever Seen The Rain? – Creedence Clearwater Revivalから、こんなフレーズ。
この曲に手拍子がつくと……
手拍子が表の場合
手拍子が裏の場合
表拍でクラップされると、なんだか昔の民謡みたいですね。
ライブでこの違いがどうして起こるのか、考えたことはありますか?
観客の手拍子の位置が変わる要因
観客のクラップ(手拍子)が表になるか、裏になるか。
これは、ベースが音を切るタイミングによって大きく左右されます。
▶︎現役ベース講師がエレキベースの魅力と楽しさについてお話します
人間は脳の構造上、無意識に低音を重視するようにできています。
その構造の原点は、胎児が母親のお腹の中で心臓の鼓動を聴きながら育つところまで遡ります。
▶︎なぜ人間の脳は音楽の低音を愛するのか? – Gigazineさんより
観客の手拍子がベースのグルーヴに釣られるのは、人間の本能によるものなんですね。
遺伝子レベルで、人間は低音に魅せられる生き物なのです!
ということで。
我々ベーシストが正しい位置でノートを断音することで、手拍子の位置を気持ちの良い所に誘導してあげることができるのです。
音価をめいっぱい使って演奏して、正しいタイミングで音を止められるベーシストを目指しましょう!
まとめ
音符の長さを意識できるようになる練習
発音から休符までの間隔を正しく身につけることで、ベーシストとしてのランクが格段に上がります。
「スタッカートでノートの長さをコントロールする練習」のレッスンを合わせて実践していただけると、更に音の長さに対する意識を向上させることができるでしょう。
「「上手いベース」の基準とは?」の記事で、『支配力と説得力が大切なんだよ!』というお話をしたんですけど。
その支配力・説得力の要(かなめ)になるのが、まさに今回のノートの長さをコントロールする力です。
「上手い演奏と下手な演奏の決定的な違いは、音を切るタイミングである」と断言しても過言ではないでしょう。
正しいタイミングで断音される音には説得力があります。
説得力のある演奏は、場の手拍子のタイミングを支配することができます。
ゆっくりなテンポから丁寧に練習して、必ずマスターするようにしましょう!