こんにちは、ベース講師の和明さん(@KAZUAKI_virgiL)です。
先日Twitterにこんなツイートを投稿したところ、なんとなくタイムライン受けが良かったので(笑)
今回は
「ヨドバシカメラの歌をコードアナライズ(分析)してみよう!」というテーマでお送りします。
BASS NOTEの「理論派ベーシスト育成計画」Lv.4までの総まとめです!
楽曲の分析ができるようになると、
「えっと…3フレット、5フレットー」
なんていうTAB譜を丸暗記した演奏から
「サブドミー、トニックー」
という感じで頭の中を整理して落ち着いた演奏ができるようになります。
楽曲に対してオリジナルのベースラインを作るときなんかにも役に立ちますね!
今回の記事では、読者の皆さんに「あぁ、私は今音楽理論を分かっているぞ…!」という楽しみを味わっていただきたいと思います!
ヨドバシカメラの歌を分析してみよう
こちらが今回の題材「ヨドバシカメラの歌」です。
店内でずーっと流れているアレです。
地元にヨドバシカメラの店舗がなくても、テレビのCMなんかで一度は聞いたことあるのではないかと思います。
ヨドバシカメラの歌 札幌店Ver.
僕は札幌民なので、この記事では地元愛を込めて「札幌店Ver.」でお送りします!
ヨドバシカメラの歌 札幌ver.
若者集まる札幌に
マルチメディアの店がある
安くてなんでも揃ってる
みんなのヨドバシカメラ
手作りの楽譜も用意してみました!
キーの分析
この楽曲のキーはGです。
楽譜をみて判断できますか?
調号からKeyを判断する
楽譜を見てみると、調号は#(シャープ)が1つ。
これがKey=Gをあらわしています。
「#1つはベースの1弦開放の音と同じ!」ということを「指板で分かる調号の覚え方」の記事で解説しています!
ダイアトニックコードからKeyを判断する
他にも、
- Gで始まりGで終わる
- Cがメジャーコード(IV度)
- Dは7thコード(V度)
- EとAがマイナーコード(VI度とII度)
こちらは「理論派ベーシスト育成計画Lv.4」の内容から判断できます。
コードアナライズしてみよう
若者集まる札幌に
冒頭は漢気溢れるトニック一発!
キーの主音(I度)に忠実な2小節です。
◆I度… トニック(T)
◆IV度… サブドミナント(S)
◆V度… ドミナント(D)
詳しい解説は理論派ベーシスト育成計画 Lv.4で!
Key=C
おなじ進行の楽曲で分かりやすいのは「ドレミのうた」。
「ドはドーナツのド♪」はトニック一発で演奏されます。
マルチメディアの店がある
前半 IV-Iについて
IV–I
C(トニック)からの続きです。
いちどIV度(サブドミナント)に渡って、再びトニックに着地しています。
トニックに解決するのは、サブドミナントの典型的な使い方です。
どんな楽曲にも、1ヶ所はこの動きをしている部分があるはず…!
そのくらい音楽の基礎になる進行です!
サブドミナントには、トニックに戻ろうとする習性があります!
後半 Vについて
I–V
最後のV7(ドミナント)は、これからセクションが変わるときなんかに「盛り上がる前のジャンプ台」として使われるものです。
ヨドバシカメラの歌も、この後のセクションがカッコいいんです…!
ポップスではとってもおなじみなV7の使い方です。
次のセクションに向けての経過音だと思っていただければ間違いないと思います。
Key=C
分かりやすいところだと「どんぐりころころ」の「おいけにはまって さぁたいへん」の部分が、I–IV–I–Vでまったく同じ構成になっています。
安くてなんでも揃ってる
I–III7–VIm
哀愁漂う素敵な進行。
III7-VIm7というのは、まさにセカンダリードミナントの教科書的な使い方ですね!
セカンダリードミナントとは
着地したいコードをI度として仮定して、それに対してドミナント・モーションする動きを作るためのコードのことです。……分かりやすく見ていきましょう。
例えば。
本来、ヨドバシカメラの歌のこの部分はメロディ上G-Em7というアレンジでも良いわけです。
- でも、なんだか盛り上がりに欠ける。
- ちょっとオシャンティにしたい。
ということで、セカンダリードミナント(という種類のコード)をねじ込んで無理やりドミナントモーションを発動させます。
ドミナント・モーションとは、安定感のある強力なコード進行の動きのことを指します!
詳しい解説はこちら!
セカンダリー・ドミナントの導き方
本来、Key=G(ヨドバシカメラの歌)のダイアトニックコードの中にB7というコードは存在しません。
ドミナント・モーションさせるために、Bm7をB7に変換します。
このB7がセカンダリー・ドミナントです。
ドミナント・モーションとは「7thコードから4度上のコードに解決する動き」を指す言葉です。
つまり、発動させるには7thコードを召喚してあげる必要があるわけです!
一般的な解釈だと――
「着地したい音(E)のダイアトニックコードのV7(ドミナント)を借りてくる」
だからセカンダリー(二つ目の)・ドミナント。
……なんて言われるんですけど、なかなか難しいですよね(笑)
もう一度、初心に戻ってみましょう。
①Em7だけじゃ物足りない。
↓
②じゃあ、Em7にドミナント・モーションで着地してオシャレ感を出そう。
↓
③そのためにはEm7の4度下の7thコードが必要だな!
↓
④じゃあB7を召喚しよう!
↓
②じゃあ、Em7にドミナント・モーションで着地してオシャレ感を出そう。
↓
③そのためにはEm7の4度下の7thコードが必要だな!
↓
④じゃあB7を召喚しよう!
「セカンダリー・ドミナント」なんて専門用語を使うと難しそうだけど…、やっているコト自体はとっても単純なんです!
ベースの指板で考えると、度数の関係がとっても分かりやすいと思います。
Bからメジャースケールを弾いてみると、4番目にくる音はEになりますよね!
セカンダリー・ドミナントの仕組み
今までGメジャー(長調)で明るく楽しく進行してきた曲に、急にEマイナー(短調)の音が混ざってくるんです。
その不安定な違和感が、なんとなく切なく泣かせる雰囲気を作り上げるんですね!
例えば、エレファントカシマシの「今宵の月のように」。
この曲はまさにKey=Gでセカンダリー・ドミナントB7からEmにドミナントモーションしている曲です。
曲のど頭からセカンダリー・ドミナントをブチ込んできます…!
セカンダリー・ドミナントのまとめ
楽曲のダイアトニックコードの中には無いはずの- I7
- II7
- III
- VI7
ドミナント・モーションしていれば、そのコードは「セカンダリー・ドミナント」です!
みんなのヨドバシカメラ
II–V–I
最後は気持ちのいいほどに典型的なII-V-I(ツー・ファイブ・ワン)!
楽曲のエンディングとしてはド定番の進行です!
最後のG6について
最後の最後に、見慣れないコードとしてG6が登場しました。
今までGはただの「G」だったのに、どうしてココだけG6なんでしょう?
答えは簡単。
メジャー系のコードは6thコードに自由に置き換えてアレンジしていいんです!
コードの構成音的には、メジャー系のコードの機能と変わりありません。6thは「フワっとした雰囲気を出すための隠し味」としてお好みで加えることができるコードです。
最後の締めがトニックで解決する場合「6thコードで締めるとオシャレに終われるよ!」というお約束みたいなモノがあるのです!
一番分かりやすいところだと、The Beatlesの「She Loves You」。
この曲の1番最後の締めのコード。
これがI6(G6)にあたります。
ちなみに、ヨドバシカメラの歌の原曲「リパブリック賛歌(米)」は最後のコードがGで書かれることが多いです。
日本で有名な「ごんべさんのあかちゃん」も曲の最後はただのGで締めくくられます。
最後のG6はヨドバシカメラの歌のオリジナリティが光る一撃なんですね…!
ヨドバシカメラの歌 まとめ
【替え歌で総まとめ】
トニックひとつでゴリ押してー
サブドミ→トニック→経過音ー
オシャレに決めましょセカンダリー
最後は2-5-1 T・T・T
ね、簡単でしょ?
「ヨドバシカメラの歌」を音楽理論の目線で分析してみました。
「ん〜……???」
と頭に???が浮かんだ人は、今一度「理論派ベーシスト育成計画」に挑戦してみましょう!
これが分かっていると、もっともっと音楽が楽しくなること間違いなし!