こんにちは、ベース講師の高橋和明(@KAZUAKI_virgiL)です。
Twitterのほうで質問を頂きました。
Question
「最初はコンパクトエフェクターとマルチエフェクター、どちらを買えばいいですか?」
これはねー…、とっても悩む問題ですよね。
エフェクターは決して安い買い物ではないので、ハズレのないように慎重に選びたいところです。
今回の記事では、初めてのエフェクター選びについてお話してみたいと思います。
コンパクトエフェクターとマルチエフェクターの違い
コンパクトエフェクター
単体のストンプです。
1つのコンパクトエフェクターにつき、1つのエフェクトを搭載したタイプのエフェクターです。
「歪み」なら歪みに特化、「コーラス」ならコーラスに特化した魔法の箱がコンパクトエフェクターになります。
世界中にありとあらゆる種類のコンパクトエフェクターが用意されているので、自分の好みに合った最良のものを選んで揃えることができるのがメリットですね。
マルチエフェクター
複数のエフェクターが1つの個体に内蔵されているエフェクターです。
基本的に、実在するコンパクトエフェクターを擬似的に再現したエフェククトが収録されているモデルが多いです。
コンプにEQに歪みに空間系にアンシミュに…、基本的なエフェクトは全て内蔵されているので「これ一台持っておけばとりあえず大丈夫」というのがメリットです。
コンパクトかマルチ、どっちを選ぶ?
とくに学生さんのうちは、楽器屋の店員さんにマルチエフェクターを勧められることが多いと思います。
その理由としては、お値段。
コスパです。
例えば、ZOOM MS-60B。
僕が現在プライベートでも仕事でも愛用しているマルチエフェクターです。
定価1万円以下のボディに142種類ものエフェクトが入っています。
その中には単価2万円を超えるコンパクトエフェクターも大量に内蔵されています。
つまり、逆を返すと…。
ある一定数のエフェクターを揃えようとした場合にはマルチエフェクターの方が圧倒的に安上がりなんですね。
筆者の場合
僕の人生発のエフェクターはBOSSから発売されているマルチエフェクターのGT-10でした。
いきなり最強格の贅沢です。
当時高校生の僕には、あのマシンはオーバースペックでした(笑)
GT-10は講師になった今でも、僕の好き相棒として活躍してくれています。
その後、本格的にベースに転向。
専門学校に入学してからは、こだわりにこだわり抜いてコンパクトエフェクターを買い揃えていきました。
そして、仕事としてベースを演奏するようになった現在。
買い揃えたコンパクトエフェクターを持ち出すことは滅多に無く。
現場では、ほぼほぼマルチエフェクター1台に原点回帰して落ち着いています。
マルチエフェクターに落ち着いた理由
あのですね、コンパクトエフェクターって重いんですよ。
ボードを組むと優に5kgとか超えてきます。
僕は可能な限り楽したい人間なので、重い機材の運搬なんて御免なのであります。
そして、基本的にコンパクトエフェクターは別途電源の供給が必要になるんです。
当然、時間制限のあるスタジオで「エフェクターボードを展開して電源をつなげて…」なんてタイムロスを起こすのも嫌です。
撤収にも時間がかかります。
つまり限りある時間が更に短くなってしまうんですね。
かたやマルチエフェクターは単品です。
1台で完結させられるので、電源は電池で十分です。
撤収の際も、MS-60Bならシールドを抜いてポケットに入れちゃえば完了。
僕は音質よりもフットワークの軽さを選び、今の姿勢に落ち着きました。
音質ももちろん大満足なんですけどね。
やはり不満も
全部入りのマルチエフェクターといえど、万能ではありません。
マルチエフェクターではどうしても解決できない問題というものが出てきます。
例えば、
「どうしてもアナログの真空管で作られたあの歪みの音が欲しい!」とか、
「○○社しか出していないあのエフェクターが入っていない!」とか。
最近のモデリング技術は、少し聞いたくらいでは違いがわからないほどに向上しています。
とはいえ。
やはりマニアックに追求していくとどうしてもアナログの音には近づけない部分が出てきてしまうんですね。
あとは性能的な問題です。
最近、僕が直面した問題として
「マルチに内蔵されているピッチシフターのレスポンスが遅い…!」というものがありました。
結局、他社の高性能なコンパクトエフェクターを買い足すことになりました。
と、いうわけで。
とりあえずマルチを一台お迎えして、必要になった時点でコンパクトで補強していくのがテンプレートではありますが、もっともオーソドックスでなおかつ合理的な無駄のない戦略なのかなと思います。
まとめ
「どの道最終的にはコンパクトを揃えるんだから、最初にマルチ買うのもったいなくね?」というビルドで、最初からコンパクトエフェクターを買い揃えていくのも正しい選択肢です。
実際、僕がベーシストになってか初めて買ったのはコンパクトのコンプレッサーでした。
ただ、コンパクトエフェクターを厳選するためにはエフェクターの基礎知識が必要になるので
最初にお遊び感覚でマルチエフェクターを購入して、 エフェクターの性能や効果的な使い方を勉強してからコンパクトエフェクターの厳選に踏み込むのが吉かなと思います。
「マルチは音が悪い」そんなのはひと昔前のお話。
最近のマルチエフェクターのモデリング技術は、本物と見分けがつかないくらい精度があがってきています。
僕のオススメは、断然ZOOM MS-60Bです。
コスパ、フットワーク、操作性、音色、全てに満足していただけるはずです。