こんにちは、ベース講師の和明さん(@KAZUAKI_virgiL)です。
今回は大事なリズムのお話。
テーマは
Theme
「シャッフル・スィングなど『跳ねたリズム』の基礎知識と強化練習」
についてです。
「ハネたリズム」について徹底解説していきます!
ちょっと調べてみると分かるんですけど、跳ね系のリズムの解釈って専門家の中でもかなり相違があるんですよね。
ネット上にも様々な情報が飛び交っているので、どの知識が正しいものなのか、その定義が曖昧になっています。
「シャッフルとバウンスは同じ意味だよ!」
「いやいや、全然扱い方が違う全く別物だよ!」
「いやいや、全然扱い方が違う全く別物だよ!」
BASS NOTEでは、僕が演奏屋さんとして生きてきた中で
- 僕は、師匠にこんな風に教わりました!
- この解釈でいれば、少なくても現場で間違いを指摘されることはないよ!
今回の記事では、シャッフル(shuffle)・バウンス(bounce)・スィング(swing)などの「跳ね系のリズム」についてお話してみたいと思います。
シャッフルについて
楽譜の冒頭に、こんな記号が書かれているのを見たことがあると思います。
こちらは「この楽曲はシャッフルで演奏してね!」という命令の記号です。
では、その『シャッフル』って何なんでしょう。
一番分かりやすいところから感覚的に勉強していきましょう。
まずは、こちらが通常のイーヴン(even)のリズムです。
ハイハットに注目して聞いてみると、均等な8分音符で演奏されているが分かると思います。
ストレート(straight)とも言われます。
『ハネ感』の無いオーソドックスなリズムのことです。
そして、こちらがシャッフルのリズム。
ライドの音に注目すると「チーチッキチッキチッキ」という3連符の中抜きで叩かれています。
スキップするような「ハネた感覚」が分かりますか?
これがシャッフルのリズムへの入り口です!
シャッフルの成り立ちについて
感覚がつかめたところで、シャッフルのリズムの基本について勉強してみましょう。
シャッフルの記号が書かれている譜面は、どんな感覚で演奏したら良いのでしょうか?
頭の中で変換する方法を分かりやすく解説します!
まず、こちらがイーヴンの8ビートの譜面です。
で、これをですね。
三連符に変換します。
架空の音符を真ん中にねじ込む!というような表現が、分かりやすいと思います。
ねじ込む音符は、頭拍の音符と同じ音です!
3連符の前半2つの音符をスラーで繋げてやると、シャッフル系リズムの完成!
シャッフルの基本は3連符!
【うさぎとかめ】
「もっしもっしかーめよーぉ、かーめさーんよー!」
【雪やこんこ】
「ゆーぅきーやこーんこーぉ、あーられーやこーんこー!」
【浦島太郎】この辺の曲で考えると、シャッフルのノリをイメージしやすいのではないでしょうか。
「むっかしーぃむっかしーぃ、うーらしーまはー!」
Check
日本の童謡は、厳密には『ピョンコ節』と呼ばれています。
捉え方はシャッフルと同じです。「東京ブギウギ」なんかのブギも、このシャッフルの一種ですね!
捉え方はシャッフルと同じです。「東京ブギウギ」なんかのブギも、このシャッフルの一種ですね!
バウンスについて
シャッフルについて学んだところで、次は「バウンス(bounce)」についての解説です。
まずは、実例から。
<
p class=”has-text-align-center”>こちらがイーヴンの16ビート。
そして、こちらがバウンスのリズム。
2つを聴き比べてみて、どうでしょう。
普通の16ビートよりもファンキーな雰囲気が伝わりますか?
シャッフルよりも細かくハネている感じを掴んでみてください!
前述のシャッフルが8分の3連系だったのに対して、バウンスは16分音符が3連系の構成になっています。
基本的な構造はシャッフルと同じです。
シャッフルを倍速にすると、バウンスになります。
「ハーフタイム・シャッフル」なんていう表現も使われますね。
有名なところだと、スピッツの「チェリー」とか。
他には、ZONEの「secret base 〜君がくれたもの〜」とか。
バッキングに注目して聴いてみるとチャッカチャッカ跳ねているのが分かると思います!
スィングについて
さて、スィングについてです。
ハネ系のリズムを語る上では欠かせない「スィング」。
これはねー…。
感覚的な部分の要素が強いので、理論的に説明するのは少し難しいんですけど。
BASS NOTE流に分かりやすく説明してみようと思います!
円の打点での理解
まずはこちらの図から。
じゃじゃん。
金持ちの代名詞。ベンツです。
否、ベンツっぽい何かです。
えー。
これは「一拍」、つまり4分音符の長さを円にして表したものです。
円のてっぺんが拍の頭。
時計回りに円を廻って、次の拍の頭で再び円のてっぺんを踏みます。
※gif動画
動画にしてみました。
わかりますか…?
ちなみに。
イーヴンの8分音符の場合だと打点がキレイに2等分されるので、上下きっちり50%の位置に打点がくることになります。
ここまでで何となくリズムの打点のイメージを掴んで頂ければ、この先分かりやすいと思います!
シャッフル
コレがここまで説明してきた「シャッフル」「バウンス」、つまり3連を基準にした跳ね系リズムの打点です。
円(1拍)を三等分したもの(3連符)のうち、1つ目と3つ目で打つ!文字に起こすと分かりやすいですね!
スィング
こちらがこの項目の本題、スィングの打点のイメージです。
3連の3つ目を基準に、その音符のイーヴンにあたる位置に打点をもってきます。
シャッフルのときは円の頂点にあった頭拍の打点を、少し遅らせます。
この頭を遅らせる動作のことをレイドバック(laid back)と言います。
職人芸なので、これがとっても難しいんですけどね…!
じゃじゃん。
焦らないで一つずつ見ていきましょう。
まずは、オレンジのラインから。
スィングで大切なのは、裏拍の位置!
シャッフルの裏(3連の3つ目)の位置と、スィングの裏の位置は同じところを基準にします。
この位置がブレると、ただの「リズム感の悪い人」になってしまいます。
オレンジラインの位置は死守しましょう。
続いて、青のライン。
これは3連系の頭の位置です。
青のラインは、メトロノームのクリックが鳴る位置になります!
それに対して赤のライン。
こちらがスィングのときの打点になります。
青と赤のラインには、微妙なズレがあります。
これが、レイドバックさせた「スィングの味」になる部分です!
スィングの強弱について
レイドバックの量は、そのプレイヤーによってさじ加減が大きく異なります。
モダン・ジャズを代表するピアニストBill Evans氏などの演奏は、ほぼ3連系のシャッフルに近いような演奏を行うことで知られています。
「レイドバック感が薄い」「スィングが弱い」なんて評価されます。
「軽快で聴きやすい!」という良い意味での評価ですね!
その一方で、リズムを見失わない限界の位置までタメてレイドバックさせながら演奏するプレイヤーもいます。
レイドバックの量には、「16分音符1つぶん遅れさせる!」みたいな明確な決まりがありません。
プレイヤーの感性で美しい・気持ちいいと感じるスイートスポットが打点になります。
「メンバー全員のリズム感は良いはずなのに、何故か演奏にまとまりが無い!」なんていう現象が起きてしまう原因のひとつは、この「個人のレイドバックのさじ加減」が原因かもしれません。
これが、スィングを理論では説明しきれない理由なのであります…!
奥が深いですね!
レイドバックの量を自由にコントロールできるようになると、ミュージシャンとしての遊べる幅がぐっと広がります!
三連の裏を固定したうえで「タメ感」を意識しながら演奏してみましょう!
跳ね系リズムの練習方法
スィング、バウンス。そしてスィング。
これ等を身につけて強化していく練習方法として、最も効率の良いものをひとつつ紹介します!
その練習方法はズバリ、
シャッフルの裏(3連の3つ目)でクリックを慣らして練習しよう!という基礎練習です。
1拍を3等分した連符を、しっかり自分の中で数えられるようになるために。
そして何より、レイドバックの要になる「3連の3つ目」の感覚を身体に叩き込むために!
3連の3つ目を正確に捉えられないと、どんどん周りのグルーヴに流されていくだけの無力なベーシストになってしまいがち…!
このポイントだけは絶対に逃さないプレイヤーを目指しましょう!
上級の強化練習
ウッピウッピ、ウッピウッピッ………シャッフルの裏打ちになれてきたら、メトロノームを倍テンにして「バウンスの裏」でクリックを慣らしながらの練習にも挑戦してみましょう。
これは悪い例!
微妙な差ですが、こちらはイーヴンの16分音符の裏で慣らした例です。
▶リズム感向上!ベーシストなら16分音符の裏でメトロノームを鳴らそう
しっかり跳ねたリズムを感じながら、3連符のグリッドを逃さないようにするのがコツです!
まとめ
シャッフルの例。
バウンスの例。
そして、スィングの例。
いずれも「跳ねたリズム」と呼ばれるものですが、どれも少しずつ捉え方が異なるものです。
音楽は、経験の中で蓄積した手札がモノを言う世界。
たくさん聴いて、たくさん弾いて、自分だけのスィングを扱えるようになりましょう!