こんにちは、ベース講師の高橋和明(@KAZUAKI_virgiL)です。
Twitterからの質問です。
Question
「バンドで合わせた際にメンバーの演奏が走ってしまった場合、ベースはリズムをキープしていたほうが良いのでしょうか?」
とくにボーカルやギターなど、前衛担当の楽器が走ってしまった場合。
周りに合わせてあげるべきなのか、キープし続けるべきなのか、迷うところですよね。
ベーシストとして、具体的にどのように対応するべきなのでしょうか。
今回の記事では、メンバーとのリズムの折り合いのつけ方についてお話してみたいと思います。
メンバーの演奏が走ったときは
個々の技量やズレたパートなどによって、その対応の方法は変わってきます。いくつかの判断例を紹介してみたいと思います。
また、今回の記事ではベーシスト自身の演奏は絶対的なリズム感を備えていることを前提として解説していきます。
自分のリズム感に自信のない方は、他人を気にする前に「リズム感絶対矯正講座」で修行です!
リズムをキープしたほうが良い場合
まずは、プレイヤー個々のレベルがある程度高い場合。
具体的には
「(ズレている人が)自分がズレていることに気付ける」
「各々がテンポのズレを自然に修正できる」
「各々がテンポのズレを自然に修正できる」
こういうときは、周りに流されないでリズムをキープし続けることをオススメします。
とくに、
他の全員のリズムはキッチリ合っていて、誰か1人だけが走ってしまっている
(戻ってこぉい…!)と念じながら、しっかりキープし続けましょう!
原則としてベースはリズムの中枢の担うパートなので、ヘタに気を利かせて軸をブレさせるのは良くありません。
心優しいベーシストさんだと、自分からズレている人に合わせにいってあげる方も多いんですけど。
「私が支えてあげなきゃ!」という気持ちで、テンポを維持することを優先してみてください。
ただ、もちろん例外な場面もあります。
リズムを合わせてあげたほうが良い場合
修正不能なほど、誰かのテンポが極端に早くなってしまったとき。
他のパートが次々にフロントマンに合わせ始めたとき。
こういう場合には、さりげなくボーカルやリード楽器に合わせてあげるようにしましよう。
リズムをキープできている者同士で、苦笑いのアイコンタクトが生じるような場面ですね(笑)
このような場面で頑なにテンポをキープしようとすると、
「あのベース、モタつき過ぎじゃね?」
臨機応変に対応して、リズムの波を止めてしまわないような演奏を心がけましょう。
ドラムがズレる場合は…
「うちのバンドはドラムが安定しないんだけど…」という方。
それはベースの責任です。
人のせいにしないの!!
ドラムは本来、ベースが作り出したリズムの渦にアクセントを加える役割の楽器です。
ドラムがリズムの要になるわけではありません。
「ドラムを誘導しきれない自分がまだまだ甘い…」と思うようにしましょう。
……一概には言えないんだけどネ。
どんなに一生懸命にベーシストが先導してあげても、Going my way-我が道を往く-なドラマーさんもいらっしゃると思います。
そんなドラマーさんと当たってしまった場合には――
スタジオ練習の段階なら、クリックを導入した丁寧なリズムトレーニングを。
ライブやセッションの場なら、ドラムが刻むビートに全員で寄り添ってあげることも必要でしょう。
というのも、お客様は基本的にドラムを基準に音楽を聞いているので。
2拍4拍のスネアの位置が他の楽器のリズムと合わなくなった時点で「あ、このバンドの演奏ズレてる…」と違和感を持たれてしまうんですね。
最も、そのような事態を避けるために日々のトレーニングが必須なんですけど。
場のグルーヴを支配できるようなベーシストを目指して、日々精進しましょう!
判断は経験則から!
「ここまでズレちゃったら修正不能だろ…」みたいな判断は、経験を積んでいくうちに必ず肌で分かるようになるはずです。
バンドのセッションは職人芸なので、スタジオやステージ上での場数を踏むことで正しい判断ができるようになってきます。
演奏中の意思決定には、個々のレベルや考え方、バンドの編成、お客さんの層、演奏する楽曲などなど、様々な要因を元にした総合的な判断が欠かせません。
ひとつとして同じケースは存在しないので、この記事で「ボーカルさんがBPM◯◯以上ズレ始めたら、ベースも合わせてあげましょう!」みたいな具体的な例を出すことは難しいんです。
「今、この空間で誰の演奏が浮いているのか」を判断材料にしてみてください。
一緒に演奏するメンバーの性格やクセを分析して知っておくのも、ベーシストの大切なスキルのひとつです!
まとめ
- 基本は軸をキープ!
- 空気を読んで合わせてあげること!
「俺はベースだから絶対にブレない!」なんていう頑固者さんは、かえって周りからはド下手に見えてしまう場合も…。
また、他の人が極端にモタっている場合でも。
ジャンルや聞き手によっては「レイドバックしてる…!」という高等表現に見えることもあるでしょう。
ライブ中のリズムの駆け引きは、空気の読み合い勝負です。
もっとも、シーケンスを走らせたような安定したプレイが理想なんですけど。
やはりテンションが上がってアツくなってくると、どんどんテンポも早くなってしまうもの。
まずは「いかにズレないか」よりも「ズレたらどう対応するか」を考えてみましょう!