こんにちは、ベース講師の高橋和明(@KAZUAKI_virgiL)です。
Twitterからの質問です。
Question
「動きのあるベースラインを演奏しながらの弾き語りができません!」
弾き語りの中でも、特に難しいと言われるベースボーカルについてです。
実は筆者の和明さん。
今でこそジャズの庭の人間ですが、高校時代〜専門学校時代にはずっとバンドでベースボーカルを担当していました。
[hukidashi_001]どうですか、似合わないでしょう(笑)[/hukidashi_001]
ベーシストとしてお仕事をするようになってからも、カフェでのソロパフォーマンスの際なんかにはベースの弾き語りをさせて頂いています。
そんな経験から、サポートの際のコーラスなんかも得意です。
手っ取り早くいうと、筆者はベースボーカル経験者なのです。
そんな僕から、今回はベースボーカルの練習方法についてお話してみたいと思います。
ベースボーカルは難しい
まず、お察しの通りベースボーカルは難しいです。
間違いありません。
ギターの場合は、その性質上右手のストロークで和音を発することができる楽器なので、4カウントのリズムさえ取ることができれば比較的容易に弾き語りを行うことができます。
右手の動きが一定で良いからネ。
一方でベースの場合は。
「ベースとして維持しなくてはいけない縦軸の安定感」と、「ボーカルとして発さなくてはいけない横軸のノリ」は全く異なるモノです。
もうね、この時点で既に難しいんですけど。
ベースボーカルは、
- 体幹のリズム
- 場のグルーヴ
- 左手の運指・押弦
- 右手の2フィンガーによるピッキング
- ベースラインの符割
- ボーカルの歌詞の符割
さらに上記の処理を行いながら、ボーカルとしてのピッチやニュアンスを同時に気にする必要があるわけです。
考えなきゃいけないこと多すぎィ!
これこそが一般的に「ベースボーカルは難しい」と言われる由来です。
正しい練習を行えばBaVoは誰でもできる!
上の項目でお話した通り、ベースボーカルは正直めちゃくちゃ難しい技です。
が、しかし。
今現在「ベースを弾きながら歌って」と言われたら、僕自身は何にも苦労することなく弾き語りをすることができます。
慣れたんです。長年練習していたら、当たり前にできるようになったんです。
つまり!
練習さえすれば、誰でも必ずできるようになる芸当なんですね!
次の項目では、具体的にどんな練習をしてきたのかを紹介していきます。
コツさえわかれば、初心者さんでもベースボーカルができるようになります!
ベースボーカルの練習方法
まず、ふわふわしたベースボーカルの概念のお話から。
以前、「演奏の際の両手の意識の割合について」という記事で軽く触れた内容なのですが。
体幹で感じているリズムの軸に、演奏中の処理を全て連動させている。というのが、今現在の僕の考え方です。
上の項目でお話したような「あれもこれも考えて…」なんてプレイはしていません。
ただ、自然にこの処理ができるようになるまでにはかなり細かな練習を要しました。
それを細かく解説していきます。
符割の分析
今回は、例としてナイトメアさんのthe WORLDを取り上げてみます。
アニメ「DEATH NOTE」のオープニングですね!
こちらが冒頭サビのベースのフレーズとボーカルのメロディ、そして歌詞です。
※ベースのTAB譜は本体半音下げチューニングの表記になります。
「歌詞の文字」と「運指」の連動
このフレーズを細かく分析していきます。具体的には歌詞の文字とベースのフレーズを連動させるための分析を行っていきます。
各符割の絡みを理解することで、ベースボーカルの難易度は大幅に減少します。
ひろがるでA弦3フレットの音を発音、
やでピッキングからスライド、
みで10フレットに着地、
のは伸ばし、
なでA弦8フレット、
かでE弦10フレット、
最初の頃は、このくらい細かく頭で理解していく必要があります!
ベースボーカルに慣れないうちは、こんな感じで事細かに「歌詞の文字」と「それに当てはまるベースの音」を理解していくのが効果的です。
ベースボーカルの入り口は「演奏しながら唄う」というより「歌(歌詞)に連動させて弾く」という考え方にあります。歌詞のどの文字で、どのように指を動かすのか。
というポイントを意識しながら、フレーズを理解するところから始めてみましょう。
「歌詞に連動させて弾く!」
この考え方が大切です!
さらに細かく
可能であれば、下記のように「3拍目の表から「ひろが」、4拍目の裏で「るー」とシンコペーションで入る…」なんて拍数の部分まで細かく理解できていると、後々のベースボーカル生活がかなり楽になると思います。
歌詞と拍の関係が理解できると、文字とドラムのスネアの絡みが分かるようになります。
スネアがガイドになってくれるので、「ボーカルが走ってしまう」事態を自然に回避することができます。
ベースラインで歌詞を唄う
ベースラインに歌詞を乗せて唄う。
これも非常に効果的な練習方法になります。
ボーカルのメロディは意識しません。
ベースラインの音程で唄うんです。
るー↓ゃみ↑のな↓かー↓※ベースの音程のつもり。
かー↓わし↑あ↑っ↓たー↓
最後の「ちぎりーー」のように音を伸ばす部分は、きちんと「りぃ(1)いぃ(2)いぃ(3)」と拍を捉えながら唄うようにしてみましょう。
かーくめいのちぎりーぃいぃだだだあーいしたゆえーにー…♪
ボーカルの音程とベースの関係
「ボーカルはベースを聞きなさい」というのは、ボーカルの教えの基本中の基本です。
「ベースの音程だけで歌えるようになりなさい」
ベースの音に対して、各度数の音程を正確に発声できるようになると歌のピッチを外さなくなります。
特にベースラインが動く楽曲であればあるほど、ボーカルとの絡みは精密に、そして濃厚に作り込まれているものです。
ベースラインはボーカルにとって最高のガイド音になります。
自分で音程のガイドを出しながら唄えるベースボーカルは、非常に歌のピッチを意識しやすいというメリットがあるんですね。
「ベースを聴きながら唄う」技術をマスターして、安定したボーカルを目指したいところです。
ベースボーカルに関して師匠に言われたこと
あくまでボーカルを重視しよう
「フロントマンならボーカルのほうがずっと大切です。ベースの比重を落としてでも歌のクオリティを意識しなさい」あくまでメインは歌。
大切なので何度も書きますが、ベースボーカルは「演奏しながら唄う」というより「歌(歌詞)に連動させて弾く」という意識のほうが圧倒的に弾きやすいです。
意識の比重はあくまで歌のほうに置くようにしましょう。
欲を言えば唄うことに集中していてもベースが崩れないくらい普段からベースを弾き込んでいるのが理想です。
また、ベースのラインを重視してボーカルがズレるくらいなら、ボーカルの歌いやすさに合わせてベースラインをアレンジするというのも大切な技術です。
▶︎【応急処置】難しすぎて弾けない!ベースラインを簡略化する方法
「ベーシストとして忠実にオリジナルのラインを演奏したい」という気持ちが強い方もたくさんいるとは思うのですが。
全ての観客が真っ先に気づくエラーはボーカルの乱れです。
やはり歌を重視するのが、特にライブでは得策かと思われます。
まとめ
- ベースラインと歌詞の絡みを理解すること!
- 歌詞と運指を連動させて覚えよう!
- メインはあくまでボーカル!
上記3点を意識すると、今まで苦手だったベースボーカルが急激に楽しくなるはずです。
ベーシストはモテないけど、ベースボーカリストはモテます。
「ベースボーカルがフロントのバンドは必ず売れる!」なんて俗説も世の中には流れています。
茨の道ですが、極めると世界が広がるベースボーカル。
丁寧な練習は必ず成果をあげます。
諦めないで挑戦してみてください!