こんにちは、ベース講師の高橋和明(@KAZUAKI_virgiL)です。
Twitterからの質問です。
Question
「プルの音を綺麗に鳴らすコツを教えてください。」
Answer
スラップのプリング(プル)は、弾き方よりも「聴かせ方」で印象が変わる奏法です。
プルのサウンドは、歯切れの良いスタッカートで演奏することで綺麗でかっこいい音を再現することができます!
プルのサウンドは、歯切れの良いスタッカートで演奏することで綺麗でかっこいい音を再現することができます!
スラップ奏法の花形、プルについて。
ベースの先生の仕事をしていると
「プルはできるけどサムが上手くできないんです…」
ーーつまり、プルの奏法そのものに困っている人は少ないんです。
プルに関する悩みで1番多いのは「プルはできてるはずなのに格好良い音が出ない」というもの。
今回の記事では、プリングの基本奏法と演奏のコツ、基礎練習についてお話していきます。
英語ではPull、Pop、Pluckiなど、様々な呼び方で呼ばれます。
BASS NOTEでは、プルで統一します。
スラップのプリング(プル)の弾き方
プル(Pull)。その名の通り、指先を弦の下に潜り込ませて引っ張りあげる奏法です。
引っ張り上げた弦がフレットにぶつかるときに、派手なアタック音が鳴るのが特徴です。
プルで使う指について
人差し指を使う方もいれば、中指をメインに使うプレイヤーもいます。
自分の手癖と相性の良い指を使いましょう!
僕は人差し指4:中指6くらいの割合で使用しています。
もともとは中指だけで弾いていました。
プルの動作を安定させるために、余っている指をスタンドにして演奏するスタイルもあります。
スラップの弾き方には正解らしい正解は無いので、自分の出したい音が出せる弾き方を探してみてください。
僕の師匠がこのプレイフォームでした。
僕自身も時折使用します。
スラップのプルのコツ
指を入れる深さ
弦を引っぱる指は、あまり深く入れすぎないこと。
深くても指の腹の真ん中付近までにしましょう。
「プルのときに指が引っかかってスムーズに弾けない」という悩みの半分以上は、指を深く入れすぎているのが原因です。
ちゃんと弦が引っぱれる最低限の深さでOK!
かなり指を寝かせた状態で、指の側面で弦を引っぱるプレイヤーさんもいます。
僕もこのタイプです。
スラップの神様Marcus Miller氏もこのフォームですね!
プルは歯切れ良く弾く
もちろん曲の雰囲気にも左右されるんですけども。
スラップのプルは、スタッカートのように歯切れ良く短く発音させるのが「プルらしさ」を押し出すコツです。
音の短さは左手で調整しましょう。
発音したら、指を少しだけ浮かせるミュートで音を切ります!
オクターブのときのミュート
スラップ中のプルは、オクターブのフレーズで登場する場合が大半を占めます。そのときの注意点。
例えば、こんな感じのフレーズ。
スラップのサムとプルを交互に使う、Dのオクターブのフレーズです。
1弦7フレットをプルするタイミングでは、サムピングした3弦5フレットのDの音はしっかりミュートすることを心がけましょう。
プルの後ろでだらしなく音が伸びてしまわないように注意しましょう!
音が濁るのを避けることで、スラップの金属音が綺麗に聞こえます!
スラップのプルの基礎練習
実戦用の基礎練習
まずはプルの基本、高音弦をはじく練習から。
- Slap … サムピング(サムダウン)
- Pull … プリング(プル)
指を深く入れすぎないように!
音が重なって濁らないように!
2拍ごとに演奏する弦が変わるフレーズです。
スラップ中の細かい弦移動に対応するためのI-VI-II-Vの基礎練習になります。
これが安定して弾けるようになれば、オクターブ系のフレーズは完璧です!
プルの応用練習
日本を代表するベーシスト、亀田誠治師匠の直伝!
サムとプルの弦の間隔がどの幅であっても演奏できるようになるための練習です。
- unison
- P5th
- octave
- 11th
見やすさを優先して全4小節で表記していますが、それぞれの弦でしっかり弾けるようになるまで個別に練習してみてください!
慣れてきたら――
ユニゾン(同弦上でサムとプル)の弦を変えてみたり。
P5th(隣同士の弦でサムとプル)の弦を変えてみたり。
いろんな弦の組み合わせで練習してみてください。
テクニカルなスラップを楽しみたい場合には、どんな弦の幅にも対応できるようになる必要があります!
地味だけど効果的!
しっかり練習しましょう!
プルの練習と各種問題について
プルのさかむけ問題
プルの練習をしていると、さかむけになってしまうことがあります。
僕もベースを始めてから数年間は、弦を血まみれにして練習していました。
こればっかりは避けては通れない鬼門…!
強いてさかむけが出来ない弾き方コツを挙げるなら、やはり指を浅く引っかけるクセをつけることでしょうか。
さかむけができる位置は、正しいスラップのフォームなら弦が当たらない場所なんです。
逆に言えば、さかむけができてしまうのはフォームが正しくない(奥まで入れすぎている)証拠。
使っているベースにあわせて、弦の間隔や指の角度、指を入れる深さを研究してさかむけができないフォームを身につけましょう。
さかむけができたときはプルの練習はお休みしましょう。
無理は禁物。痛いだけです。
サカムケアがオススメ
どうしても練習を継続したい場合には、さかむけを保護してくれる小林製薬のサカムケアがオススメです!
さかむけをコーティングして、出血や悪化を防いでくれます。
絆創膏だと弦のテンションに負けてズレてしまうので、ベースの練習には不向きです。
スラップでできる水ぶくれについて
こちらもスラップ初心者の頃は避けては通れない水ぶくれ。
スラップの練習を続けていくうちに、指が鍛えられて水ぶくれはできなくなってきます。
こちらもくれぐれも無理はせずに、スラップ用の指が完成するまでは上手に水ぶくれと付き合っていきましょう。
水ぶくれは潰さないで放置するのが一番早く治ります!
痛みがある場合は、水ぶくれのある指を使わないサムピングの練習に切り替えましょう。