
こんにちは、ベース講師の高橋和明(@KAZUAKI_virgiL)です。
生徒さんからの質問です。
最速でウォーキングベースが弾けるようになる方法や、コードトーンとクロマチックアプローチだけで作れる即席ウォーキングベースラインの作り方もあわせて解説します!
ジャズの代名詞、聴く者すべてを魅了する4ビートのウォーキングベース。
僕はウォーキングベースの巧みに操るベーシストに憧れてジャズの世界に入り、日本中のステージで修行を積んできました。
そんな僕が大好きなウォーキングベースの基本構造や練習方法について紹介していきます!
ウォーキングベースの基本について
ウォーキングベースってどうやって弾くの?
まずは
という部分のお話から。
ウォーキングベース構築の基本ルールは
- コードトーンを踏みながら指板上を歩く [重要度★★★★★]
- 経過音を使って滑らかにコードトーンをつないでいく [重要度★★★★]
- 1拍目はルートを弾いてあげると親切 [重要度★★★]
大体こんな感じ。
いずれも100%守らなくてはいけないというワケではありませんが、最低限この3点を頭に入れておけばウォーキングベースの基本はバッチリです!
一見とっても難しそうなウォーキングベースですが、実際にやっていることは意外とシンプル!
シンプルだからこそ個々のセンスと色味が際立つ、無限に奥が深い世界です!
ウォーキングベースの弾き方の基本
1.コード進行を確認する

例えば、こんなコード進行があったとします。
ウォーキングベースを演奏するときには、最初にコード進行をしっかり確認しましょう!
2.指板上で次のコードのルートの位置を確認する

指板上のスタートの位置と、次のコードのルートの位置を把握します。
1小節目を演奏している段階で、頭の中では2小節目のことを考えているのが理想です!
3.コードトーンを辿りながら次のコードのルートを目指す

コードの構成音を経由しながら、コード進行に合わせて指板上を歩き続けるのがウォーキングベースの基本構造になります。
「次のコードの音が指板上のどこにあるのか」を常に分析しながら演奏します!
最速でウォーキングベースが弾けるようになる方法
僕がオススメするウォーキングベースの習得方法は
「同じ曲のベースラインを3人ぶんコピーする」
というもの。
例えば、Joseph Kosma氏のAutumn Leaves(枯葉)。
ジャズを勉強する人なら絶対に避けては通れない定番中の定番の楽曲です。
- Al Cohn & Z oot Sims版: Either Way
(Ba: Bill Crow) - Cannonball Addeley版: SOMTHIN’ ELSE
(Ba: Sam Jones) - Chet Baker版: She Was Too Good to Me
(Ba: Ron Carter)
などなど、名だたるミュージシャンたちがこの楽曲を演奏しています。
このAutumn Leavesのベースラインを、まずは数パターン採譜してみましょう。
ベースの巨匠たちの奏でるベースラインをたくさんコピーしてみましょう!
ジャズ・スタンダードの楽曲から練習し始めるのがオススメです!
コピーしたベースラインを融合させる
例えば。
こちらはパターンAのウォーキングベースライン。
そしてこちらがパターンBのウォーキングベースラインです。

どちらもAutumn Leavesの序盤8小節のコード進行のベースラインです!
この2パターンをですね。
じゃじゃん。
ミックスします。
どうですか!
これで自分だけのオリジナルのウォーキングベースラインができちゃいました!
赤い小節はパターンAのフレーズ、青い小節はパターンBのフレーズです!
小節単位でフレーズを覚えていこう
「まずは同じ曲を3パターンコピーしてみる」
これを何曲もやっているうちに、
- 4度上に向かう小節のベースライン
- 4度下に向かう小節のベースライン
- II-V-Iの進行に対応したベースライン
というように、1小節単位で自分の中にウォーキングベースの引き出しが蓄積されてきます。
お決まりの手グセのような感覚で、指が覚えてきます。
あとは、コード進行に合わせて自分の中の引き出しから手札を並べていくだけ。
ね、簡単でしょ?
まずは難しく考えずに、ウォーキングベースの雰囲気を楽しむところから始めてみましょう!

演奏中は、常に頭の中で「理論的なコード進行の分析」と「分析したコード進行に対応するウォーキングベースの手札」が展開され続けています!
お手軽ウォーキングベース練習講座
本来ならウォーキングベースは、音楽理論を駆使しながら「より滑らかに」「より美しく」を追求しながら演奏するのが醍醐味だと思うんですけども。
耳コピは苦手で面倒くさいです!
なんか手っ取り早く弾ける方法ないですか?
という方のために、即席でなんちゃってウォーキングベースが弾けるようになる練習方法を解説します!

Key=CのⅠ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴの進行で解説します!
1.ルート
【第1の要素】
1度音程
まずは4ビートのルート弾きでウォーミングアップです。
4ビートのベースラインはリズムの誤魔化しが利きません!
コードの変わり目でリズムがヨレないように気をつけましょう!
2.ルート+5度
【第2の要素】
5度音程
ルート弾きが安定してきたら、3拍目と4拍目を5度の音に変えて演奏してみましょう。
もちろんオクターブ下の音を使って演奏してもOKです!
3.ルート+3度+5度
【第3の要素】
3度音程
ルートと5度で演奏ができるようになったら、次は3度の音を追加してみましょう。
2拍目を3度に変えて、トライアドのコードトーンを順番に演奏します。
メジャー系のコードではM3rdを、マイナー系のコードではm3rdを弾きましょう!
4.ルート+3度+5度+アプローチノート
【第4の要素】
クロマチックアプローチ
この一手で急激にウォーキングベース感が付加されます!
4拍目の音を、次のコードのルートから見て半音上または半音下の音を追加してみましょう。
この例の場合だと、2小節目のルートはAの音なので半音下のG#もしくは半音上のA#からAに向かうことになります。
半音階のことをクロマチック(chromatic)と言います!
5.ランダム
【第5の要素】
ランダムなクロマチックアプローチ
慣れてきたら、各コードトーンに向かって自由に半音階でアプローチしてみましょう!
- 3度
- 5度
- 次の小節のルート
- 次の小節のコードトーン(応用)
などなど。
クロマチックアプローチでコードの構成音を拾いながら、ウォーキングベースのラインを組み立てていきましょう。
奇数拍(1・3拍目)ではコードトーンを、偶数拍(2・4拍目)ではアプローチノートを弾くように意識するとウォーキングベースらしいベースラインが作りやすいと思います!
アヴェイラブルノートスケール(チャーチモード)に関する知識のある方は、クロマチックノートの代わりにスケールの音を使用してみてもOKです!
ウォーキングベースらしい演奏をするコツ

五線譜やピアノロールで見たときに、綺麗な階段状になるようなベースラインが理想的です!

「コードトーンに対してクロマチックアプローチ」というルールはそのままですが、このようなアレンジだとピアノロールで見るとガタガタです。
必ずしも間違いというわけではありませんが、これではウォーキングベースらしい音の響きとは言えないですよね。
音がなめらかに繋がるようにクロマチックノートを混ぜてあげるのがウォーキングベースらしく聴かせるコツです!
たくさんウォーキングベースのフレーズをコピーしていくと、なめらかに音をつなげるアレンジ方法が感覚的に分かってきます!
ウォーキングベースを勉強するときにオススメの教則本

僕がウォーキングベースを研究するときにお世話になった本を2つ紹介します!
水野式 ウォーキング・ベース・ライン辞典
ジャズ界の重鎮、水野正敏さんの著書。
実践的なウォーキングベースライン集です。
この記事の冒頭で紹介した「ウォーキングベースをコピーする」を手助けしてくれるとってもありがたい一冊。
ジャズ、ブルース、ラテン、ワルツなど幅広いジャンルに対応しています。
エレキベース用とアップライトベース用のTAB譜が載っているので、五線譜が苦手な人でも大丈夫!
水野式 ウォーキング・ラインのルールブック
同じく、水野正敏さんの著書。
こちらは「コピーしたものを融合する」というスタイルを抜け出したい人のための一冊。
ウォーキングベースの構築の仕方がイチから丁寧に解説されています。
ウォーキングベースに関する疑問は、この本を読めば大体解決できるはず!
この一冊があればウォーキングベースの攻略はバッチリ!
音程や度数に関する音楽理論が必要になるので、BASS NOTEである程度の知識をつけてから挑戦していただきたい一冊です!
まとめ
ウォーキングベースは一生楽しめるベース沼のひとつです。
理論的に!なめらかに!そして美しく!
たくさん練習して、オトナなベーシストを目指しましょう!