
こんにちは、ベース講師の高橋和明(@KAZUAKI_virgiL)です。
Twitterからの質問です。
Question
「オンコードの解釈と弾き方を教えてください。また、オンコードでひたすらエイト弾きで押しているときに1ヶ所だけハッとさせるアイデアがあれば、お教え頂きたいです。」
Answer
ベーシストは「C on G」「C/G」を『CだけどG』と覚えましょう!
分母で指定されている音を中心に、そのコードのコードトーンを混ぜながらフレーズを組み立てるのが効果的です!
分母で指定されている音を中心に、そのコードのコードトーンを混ぜながらフレーズを組み立てるのが効果的です!
困ったら小節自体のルート音を織り込んでみましょう!
そんな単純パターンに陥っているプレイヤーさんのために、今回は簡単なフレーズの引き出しを伝授しようと思います。
オンコードとは

時折譜面のなかに登場する、得体の知れないこちらのコード表記。
「C on G」
このような形のコードのことをオンコードと呼びます。
読み方は「シー オン ジー」です。
そのまんまですね。
また「C/G」と表記されるスラッシュコード(分数コード)も、意味合い的にはオンコードと同じように扱います。
こちらは「ジー ぶんの シー」と読みます。

オンコードとスラッシュコードの厳密な違いについては、次の項目で解説します!
オンコードの意味

この表記のコードは、
小節のコードはCだけど、ベース(最低音)はGを演奏してね!という意味合いになります。
音の響きの浮遊感やオシャレ感を強調したい場面で、よく使われるコードですね。
我々ベーシストは、難しいことは考えずに右側(後ろ側)のコードにだけ注目していれば問題ありません!

「C onG」は「CだけどG」という捉え方で読むと、覚えやすいですね!
オンコードとスラッシュコードの違いについて

ベースラインの説明をする前に、頭の片隅に入れておいてほしいオンコードとスラッシュコード(分数コード)の違いについてお話させてください。
まずは基本のお勉強から!
ロックの世界では
オンコード(C onG) = スラッシュコード(C/G)という解釈で演奏をするのが定石です。
楽器を演奏するうえで、ほとんどの場合はこの解釈で間違いないでしょう。
しかし、この2つのコードは厳密には少しだけ違います。
フュージョンやジャズの世界では
オンコード ≠ スラッシュコードとなります。

オンコードで指定されている音はあくまでNote、つまり単音。
一方スラッシュコードで指定されている音はChord、和音を意味します。
複数のコードを同時に鳴らす「アッパーストラクチャートライアド」のような意味合いですね。
- C onGのGは、ただのG(ソ)の音。
- C/GのGは、Gコード。
- どちらもCはCコード。
まとめるとこんな感じ。

難しいことを考えたくない人は「オンコードとスラッシュコードはおんなじ意味!」と覚えておけば、まず間違いのない演奏ができます!
Check
「C on D」の略(別記法)として「C/D」という表記が使われる場合もあります。
そのくらい、オンコードとスラッシュコードの意味はごちゃまぜにしてしまっても問題ないということですね!
そのくらい、オンコードとスラッシュコードの意味はごちゃまぜにしてしまっても問題ないということですね!
「ほとんどの人は気にしてないけど、厳密には少しだけ違うんだよ!」ということを、なんとなく知っておきましょう。
オンコード中のベースの弾き方

例えば、Am7 onD。
「エーマイナーセブンス オン ディー」。
「Am7だけど、ベースはDを弾いてね」という記号ですね。
普通に演奏すると、こんな感じ。
ピアノはAm7のコードを、ベースはDの音を8ビートで演奏しています。
オンコード上のベースライン
オンコード上のベースラインにワンポイント加えたいときは、元のコードのルート音をはさみながら弾いてあげると違和感なくベースを主張できます。
今回の場合だとAm7 onD、つまり小節のコード自体はAm7なのでAの音を混ぜて弾いています。

あくまでonD、つまり「ベースはDを弾いてね」という指定の上でのアレンジになるので、Dの音をたくさん使いながらAを混ぜてあげると良いでしょう!
もう少し見せつけてやりたいときには、Dの音を多めに織り混ぜつつAm7のコードトーンを基準にベースラインを作ります。
「Am7 onD」の小節上では他の楽器がAm7を軸に演奏しているはずなので、ベースもAm7の中で動くと問題なくフレーズを構築することができます!

ベースに指定されている音ではなくて、小節の大元のコードを基準に考えるのがオンコードのアレンジの基本です!
スラッシュコード中のベースの弾き方

例えば、C7/B♭。
「ビーフラットぶんのシーセブンス」。
「C7だけど、ベースはB♭を弾いてね」という記号ですね。
普通に弾くと、こんな感じ。
ピアノはC7のコード、ベースはB♭の音を単音で弾いています。

オンコードのときと、まったく同じ解釈で演奏しています。
スラッシュコード上のベースライン
今度は、ベースに指定されたB♭を軸にアレンジする方法を紹介します。
まずは、B♭から見たルートと5度を取り入れて演奏してみます。
Rootと5thの音は「パワーコード」の音になるので、大元のコードの音とぶつかりにくく安心して織り混ぜることができます。

メジャー・マイナーの区分が無いパワーコードは、どんな場面でも大活躍!
こちらは、C7のコードトーンをメインにB♭の音を取り入れながら演奏した例。

スラッシュコード上でアレンジするときも、あくまで基準は元になるコードのほうです!
オンコードによる下降進行の場合の弾き方
自分でベースラインをアレンジするときに、気をつけたいのが「下降進行」や「クリシェ進行」の場合です。
例えば「C→G/B→Am→Em/G」みたいな感じのよくあるコード進行の場合。

「ド〜シ〜ラ〜ソ〜♪」
ベースに着目すると、C→B→A→Gというように音階を順番に下降しています。
このようにベースの動きを狙って作られている場面では、あえてベースラインを動かさずにシンプルに下降してあげると吉!

楽曲のコード進行自体が持っている和音の響きを楽しみましょう!
それでもひとあじ加えたい場合には、先にあげたベース音の5度を織り込むアレンジを使って対応しましょう。
派手になりすぎずに、ベースラインを動かすことができます!
まとめ
- オンコードの基本の解釈は「AだけどベースはB」という読み方。
- ベースラインを構築するときは、大元のコードを基準に考える。
- ベース音から見たルート・5度の音を使ってアレンジできる。
オンコード・スラッシュコードは、音の響きを無理やり融合させる言わば「コードの暴力」です。
如何にアンサンブル全体の音を邪魔することなくベースを演奏できるかが大切になってきます。
「周りの楽器を阻害しない音」を上手に見つけてアレンジしてみましょう!