
こんにちは、ベース講師の高橋和明(@KAZUAKI_virgiL)です。
Twitterからの質問です。
Question
「チャーチモードって何ですか?」
Answer
別名モードスケール!
ジャズのアドリブソロには欠かせない7種類の音階のことをチャーチモードと呼びます!
ジャズのアドリブソロには欠かせない7種類の音階のことをチャーチモードと呼びます!
チャーチモードを覚えると、
「この小節のうえでは、◯◯スケールで弾ける!」ということが分かるようになってきます。
コードごとにアプローチができるようになるので、コード感をしっかり感じさせる演奏ができるようになります!
即興演奏への大きな一歩ですね。
チャーチモードとは
チャーチ・モード(church mode)。別名グレゴリアン・モード(gregorian mode)。
日本語では教会旋律なんて言われます。
ジャズの世界ではモード・スケール(mode scale)という呼ばれ方のほうが一般的でしょうか。

その起源は中世の教会音楽の世界。
メジャースケール・マイナースケールという現代音楽の音階が生まれる前に使用されていた音階になります!

モードスケールは全部で7種類。
- Ⅰ△7用のスケール
- Ⅱm7用のスケール
- Ⅲm7用のスケール
- Ⅳ△7用のスケール
- Ⅴ7用のスケール
- Ⅵm7用のスケール
- Ⅶm7(♭5)用のスケール
最初は難しいコトは考えずに「おしゃんてぃな雰囲気」を出すための7種類のスケールの総称 = チャーチモードくらいの認識で問題ないでしょう!

チャーチ(church)は英語で教会・聖堂のこと。
モード(mode)は「曲の雰囲気」みたいな感じの意味合いの言葉です!
イドフリミエロを覚えよう

前述のとおり、チャーチモードは全部で7種類。
それぞれにややこしい名前がついています。
- イオニアン(Ionian)
- ドリアン(Dorian)
- フリジアン(Phrygian)
- リディアン(Lydian)
- ミクソリディアン(Mixolydian)
- エオニアン(Aeolian)
- ロクリアン(Locrian)
リディアンモード, エオリアンモードなんていう言い方をする場合もありますね。
「日本語でおk」と言いたくなるようなカタカナの羅列なんですけど。
その頭文字をとって「イドフリミエロ」という覚え方をしたりします。
まずは上記の順番で丸暗記してみましょう!

僕も専門学校時代に「イオニアンドリアンフリジアン…」と棒読みで丸暗記させられました。
7種類のモードスケールを覚えよう
Ⅰ. イオニアン(Ionian)

イオニアンスケール。
メジャースケールの別名です。
なんとなくカッコよく言ってるだけで、その正体はただのメジャースケールです。
I度…つまり楽曲のKeyの音を主音にしたスケールなので、基本的にはどんな場面でも使用できる万能なスケールです。

アイオニアンスケールと呼ばれる場合もあります!
Ⅱ. ドリアン(Dorian)

ドリアンスケール。
楽曲中のIIm7のコードに対応したスケールです。
マイナースケールの6度を半音上げた形のスケールになります。

II-V-IのII度上での使用頻度が高いスケールです!
Check
Check
メジャースケール・マイナースケールを基準して動かした音――つまりこの場合の6度の音程のことを特性音(キャラクタリスティックノート)と言います。
それぞれのモードを象徴する音になっていて、そのモードの特徴や色合いを最も醸し出すことができる大切な音価です!
それぞれのモードを象徴する音になっていて、そのモードの特徴や色合いを最も醸し出すことができる大切な音価です!
この記事の指板上では●赤丸で記してあります。
ドリアン・スケールの実用例
水樹奈々さんの「ETERNAL BLAZE」のサビのど真ん中!
君は光の女神(てんし)〜♪「てんし」の「し」がドリアン・スケールの特性音、スケールの6度の音が来てますね!

Dドリアンスケールの6度、B(シ)の音がいちばん盛り上がるところに入っています!
「ドリアン感」を存分に発揮できる理想的な使い方です!
Ⅲ. フリジアン(Phrygian)

フリジアンスケール。
マイナースケールの2度の音を半音下げた形のスケールです。
IIIm7に対応したスケールですが、使用頻度は少なめなイメージですね。
特性音は♭2度の音になります。

「sus♭9コード」という特殊な形のコード(通称フリジアンコード)上で本領を発揮するスケールです!
Ⅳ. リディアン(Lydian)

リディアンスケール。
メジャースケールの4度の音を半音上げた形のスケールです。
ダイアトニックコードのIV△7に対応しているスケールになります。
特性音は#4度の音です。

IV度と同じサブドミナントの機能をもっているIIm7のうえでドリアンスケールの代理として使用することもできる便利なスケールです!
Ⅴ. ミクソリディアン(Mixolydian)

ミクソリディアンスケール。
メジャースケールの7度をフラットさせてm7度に変えた形のスケールです。
音楽の世界において重要な役割を持つⅤ7のコードに対応したスケールになります。
特性音はマイナー7度の音程です。

ドミナントの機能をもったスケールということで、使用頻度も高めです!
Ⅵ. エオリアン(Aeolian)

エオリアンスケール。
マイナースケールの別名です。
VIm7の上はもちろん、ダイアトニックコード上であれば基本的にはどこでも使うことができます。

説明不要!ただのマイナースケールです!
Ⅶ. ロクリアン(Locrian)

ロクリアンスケール。
マイナースケールの2度と5度をフラットさせた構成で、VIIm7(♭5)に対応したスケールです。
理論上ではマイナーII-V-IのII度――つまりIIφコードのうえで使用できるスケールなのですが、実際に使用することは滅多にない印象です。
特性音は♭2度と♭5度の音です。

狙って「ロクリアンっぽく弾こう!」という場面にはほぼほぼ遭遇しないと思います。
通称、チャーチモードのいらない子。
モードスケールの覚え方
全部で7つもあるモードスケール。これを個々でいっきに覚えるのは、なかなか至難の技だと思います。
なので、他のスケールと関連付けてまとめて覚えてしまいましょう。

メジャー系とマイナー系にカテゴリ分けして考えると覚えやすいです!
メジャー系
- イオニアン
- リディアン
- ミクソリディアン
3度の音がメジャー3rdのスケールたちです。
イオニアン(メジャースケール)を基準に、
- 4度(11th)が半音上がっているのがリディアン
- 7度(△7)が半音下がっているのがミクソリディアン
マイナー系
- ドリアン
- フリジアン
- エオリアン
- ロクリアン
エオリアン(マイナースケール)を基準に、
- 6度(♭13th)が半音上がっているのがドリアン
- 2度(9th)が半音下がっているのがフリジアン
- フリジアンの5度が半音下がっているのがロクリアン
とっても覚えやすいと思いませんか!
モードスケールとテンションノートについて

モードスケールは「コードトーン+テンション=スケール」という概念がとっても分かりやすく構成されています。

「コードトーン+テンション=スケール」は音階を覚えるうえでは欠かせない重要な考え方です!
この場合のテンションは「次のダイアトニックコードのトライアド」を指します!

例えば。
IIm7に対応するドリアンスケールは、
IIm7のコードトーン+IIIm7のトライアドで完成します。

もう一例。
IV△7に対応するリディアンスケールなら、
IV△7のコードトーン+V7のトライアドで構築することができます。
頭の片隅でいいので、覚えておきましょう!
モードスケールの構造について
ここからは音楽教室や教則本などで説明されがちな間違った覚え方です。
この覚え方はまったく意味がない危険な覚え方なので、あくまで「モードスケールの構造の概念」として流し読みしてください。

要約すると、CメジャースケールをAの音から弾き始めるとAマイナースケールが完成するよ!というお話でした。
それを頭に置いた上で――。

こちらはお馴染みのCメジャースケール。
チャーチモードのCイオニアンスケールの配列にあたります。
それで、ですよ。
本題はここからです。

例えば、Cイオニアンスケールをレ(D)から弾いてみるとするじゃないですか。
なんとIIm7に対応したDドリアンスケールの配列になります。

さらに、Cイオニアンスケールをミ(E)から弾き始めるとEフリジアンスケールとなります。
中身が見えてきましたね。
メジャースケールの――
1番目から弾き始めるとイオニアン
2番目から弾き始めるとドリアン
3番目から弾き始めるとフリジアン
4番目から弾き始めるとリディアン
5番目から弾き始めるとミクソリディアン
6番目から弾き始めるとエオリアン
7番目から弾き始めるとロクリアン
1番目から弾き始めるとイオニアン
2番目から弾き始めるとドリアン
3番目から弾き始めるとフリジアン
4番目から弾き始めるとリディアン
5番目から弾き始めるとミクソリディアン
6番目から弾き始めるとエオリアン
7番目から弾き始めるとロクリアン
ちなみに、この項目の始めのAマイナースケールの話に戻ってみると。

Cメジャースケールを6番目の音から弾き始めるとAエオリアンスケールが完成します。

繰り返しになりますが「メジャースケールの◯番目から弾いたスケール!」なんていう間違った覚え方はしないように!!
あくまでスケール構成の理論のひとつです!
実戦ではきちんと独立したスケールとして使用できなければ意味がありません!
勘違い注意!
初心者さんによくある勘違いについて。
「レミファソラシドレ」=「ドリアンスケール」という認識をしてしまう方が多かったりするんですけども。
あくまで
『インターバルが「全半全全全全半全」のスケールのことをドリアンスケールと呼びますよ!』という意味合いのお話になります。

「メジャースケールをレから始めたものがドリアンスケール」ではなくて、
「メジャースケールをレから始めるとドリアンスケール の配列になるよ!」ということですね!

指板上のドリアンスケールの配列です。
ルートがEならEドリアンスケール(実音: ミファ#ソラシド#レ)
ルートがGならGドリアンスケール(実音: ソラシ♭ドレミファ)
ということになります。
スケールのインターバルについては「スケールについての基礎知識を勉強してみよう」の記事で詳しく解説しています。
ピンとこない方は、合わせて参考にしてみてください。
まとめ
チャーチモード(モードスケール)は理論的に見ても本当に奥が深い音階です。
また雰囲気をつかさどる音階なので、感性で使うタイミングを見極める必要がある上級者向けのスケールになっています。
なので。
この記事を読んで「ふーん、そんなスケールもあるんだー」くらいに思っていただけたら、今回の取れ高は十分です!
音楽理論の入り口は広く浅く!
これがBASS NOTEのモットーです。
音楽の勉強を進めていくなかで
「そういえば、あれはどういう意味なんだろう?」
「どうして、こういう解釈なんだろう?」
と疑問に思ったタイミングで、改めて勉強して隙間を埋めていくのが効率の良い勉強方法だと思っています。
自分にとって知識が必要になった段階で、あらためて知識をどんどん増やしていきましょう!
最後までありがとうございました!
チャーチモードの基礎練習

実音は同じだけど、きちんとルートの音とスケールの特性音を意識して弾いてみよう!という、モードスケールを身に着けるうえで大切な部分を練習できる記事になっています。
チャーチモード練習フレーズ集
