
こんにちは、ベース講師の高橋和明(@KAZUAKI_virgiL)です。
Twitterからの質問です。
これが分かれば、小節の中で弾いていい音がいつでも導き出せるようになります!
前回の「コードの読み方について」の記事では、コードネームの読み方を覚えました。
大文字はそのまま読む。
小文字のmはマイナーのこと。
△はメジャーのこと。
数字は英語読みにthをつける。
というルールでしたね!
今回は、具体的にコードの「メジャー」や「マイナー」の意味を詳しく勉強していきましょう!
堅苦しい理論は抜きに、コードの構造のルールを説明していきます。
コードの仕組みを勉強する前に
メジャースケールとマイナースケールを弾けるようにしておこう
コードについて勉強する前に、メジャースケールとマイナースケールを弾けるようにしておきましょう。
スケールの形を覚えていると、コードの構造を直感的に理解できるようになります!

メジャーと言われたらこの形!

マイナーって言われたらこの形!と指板の形で覚えてしまいましょう!

指板上でコードを理解するためには、マイナースケールはこの形も覚えておくと便利かも!
度数について理解しておこう
コードの構造を理解するためには、度数の理解が必須です!
音階を数字であらわす方法を事前に勉強しておきましょう。
コードの仕組みについて

コードの表記は大きく分けて、4つの枠の中で構成されています。
① 主音が入る枠
② mが入る枠
③ 数字が入る枠
④ 追加指示が入る枠
ひとつずつ役割を解説していきます!
①主音が入る枠
①の枠には
「ここで指定した音名を1度として、3度と5度の音を重ねてコードを作ってね!」
という意味があります。
言葉にすると難しそうですが、ベースの指板で考えるととっても簡単!

「メジャースケールの形から、1番目と3番目と5番目の音を抜き出して用意ね!」という指示です。
スケールを基準に考えると分かりやすい!

五線譜で見るとこんな感じ。
キレイに音符が3つ、等間隔で重なっています。
このようにRoot・3rd・5thの三音を重ねたコードのことをトライアドと呼びます。
合わせて覚えておきましょう!
このトライアドこそが、コードを構成する音のすべての基準になります!
M3rdのMはメジャー(長)のM。
P5thのPはパーフェクト(完全)のP。
Q.「完全? 何それ??」
A.「なんか昔の偉い人が『5度は完全5度(Perfect 5th)って呼ぶぞ」って決めたんです。仕方ないので理屈抜きに従いましょう」
ベースの指板上の各度数の位置

RootとM3rdの位置関係
指板で見ると、ルートと3度の位置関係は「斜め上」の関係。
ドとミの位置ですね!

RootとP5thの位置関係
ルートと5度の位置関係は「斜め下」の関係。
こちらはドとソの位置ですね!

メジャートライアドの位置関係
この形は、ルートがどの弦のどの音になっても共通の法則です!
「メジャーの形!」と言われたらパッとこの形が思い浮かぶように、しっかり頭に叩き込みましょう!
1度 … 中指
M3度 … 人差し指
P5度 … 小指
このように指の形で覚えちゃってもいいですね!
ベースの指板上で各度数を覚える方法については「指板上のコードトーンの位置を覚える」の記事で詳しく解説しています。
この記事と合わせて読んでみてください!
②mが入る枠
m(マイナー)は
コードの3rdの音を半音下げなさい!
という指示になります。
①の枠で用意した三和音(トライアド)の3rdの音をフラットさせます。

五線譜で見るとこんな感じ。
第3音にフラットがついていますね。
これがマイナートライアドの構成になります。
♭(フラット)は「音を半音(1フレット)下げる」という記号です!

イメージとしては、こんな感じでしょうか。

こちらも、ベースの指板で見ると分かりやすいですね。
「M3rd」のひとつ上のフレットが「m3rd」の位置になります。

マイナースケールのⅢ度の位置を思い浮かべると分かりやすいですね!

オーソドックスなマイナースケールの形から見ると、こんな感じ。

マイナートライアドの位置関係
指板上の位置の確認です。
こちらも共通の法則になるので、覚えておきましょう!
ここまでの内容が理解できれば、コードの構造に関する知識は制覇したも同然です!
③数字が入る枠
③の数字の枠は
コードにこの度数を足してね!
トライアドで構成されたコードに、ここで指定された音を追加します
「7th」の「7」が入るのが一番多いパターンです!
6や9は次に説明する④の枠に入ることのほうが多いかも。
ただ、普通にこの③の枠で指定されることもあるのでココで紹介させていただきます。

五線譜で見るとこんな感じ。
①と②の枠で積み重ねたトライアドに、音を追加します。
【重要】7thについて
コードの世界で最も多用されるであろう7th(セブンス)についての解説です。
まずは、下の画像を見てみてください。

7thって2種類あるんです。
まずですね。
ここがややこしい点なんですけども。

7thは②の枠にmが付いていてもいなくても「マイナーの7度」のことを指しています。

マイナースケールの7thの位置を思い浮かべると、分かりやすいと思います!

五線譜で見るとこんな感じ。
第7音がフラットしています。

指板上で見た7thコードの配置。
普通のトライアドに7thの音を追加した状態になります。

こちらはm7thコードの配置。
マイナートライアドに7thを重ねた状態です。
「7th」と言われたら、自動的に「♭7th」のことを指す場面がほとんどです!
追加する音を「マイナー7th」とか「♭7th」みたいに呼ぶことはあんまりないかも。
△7thについて

メジャースケールの7度の位置、つまり「ナチュラル7th」の位置を指定したい場合には「major」を付けて「メジャーセブンス」という呼び方をします。
- maj7th
- M7th
- △7th
小文字のm(マイナー)と区別をつけるために「maj」「△」と表記される場合が多いです。
これについては「コードの読み方について」の記事で解説しています!

五線譜で見るとこんな感じ。
「△」の指定があることで第7音がナチュラルになっています。
C△7「シーメジャーセブンス」
このメジャーはあくまで7thにかかる言葉です。
Cのメジャーコードは普通に「Cコード」って言いますよね。
「Cメジャーコード」と言うことは少ないと思います。
②の枠に入る指示は①の主音にかかりますが、
「maj」「△」は③の枠に書かれる指示で7th専用の指示になります。

指板上で見た△7thコードの配置。
トライアドに「メジャー7th」の音を追加した形になります。
コードの名前が長くなっても「トライアドに③の枠で指定された音を足す」というルールは変わりません!
マイナーメジャーセブンスコードについて
マイナーなのかメジャーなのかよく分からかった謎の存在「イナーメジャーセブンスコード」。
ここまでの知識を総合すると、簡単に理解できると思います!

- mは「トライアドの3rdを半音さげてね」という指示
- △は「7thをメジャーにしてね」という指示
になります。

指板上で見るとこんな感じ。
マイナートライアドにナチュラル7thの音が追加された状態になっています。
コードの指示を順番に組み立てて行くと、あっさり解明できました!
④追加指示が入る枠
④の枠は
①②③で組み立てたコードに、④で改変を加えてね!
という指示になります。
大きく分けると
- ♭5の指示が入る場合
- 追加するテンションの指示が入る場合
上記の2パターンの指示が入ります。
♭5の指示
(♭5)には
ここまで作ってきたコードの5度を半音下げてね!
という意味があります。

五線譜で見るとこんな感じ。
メジャー系コードでもマイナー系コードでも今まで動かなかった完全5度の「完全」がココで崩壊します。
逆に言うとP5thの位置を動かす力を持っている指示は(♭5)だけなんです!
難攻不落の完全要塞!
だから「完全5度」なんです!
……っていう覚え方をしましょう。

m7(♭5)コードを指板上で見てみるとこんな感じ。
5度の音に注目です。
普通のm7thコードのときと比べて半音下がっています。
テンションの追加指示
(13)などの数字の指定なら
ここまで組み立ててきたコードに指定した度数の音(テンション)を足してね!
という指示になります。
(♭9), (11), (#13)などなど、テンション・ノートが指定されるのが一般的です。
テンション追加の指示の場合にはFm7-5, D7+9のように( )の代わりに±で表記される場合もあります!
頭の片隅に入れておきましょう!
「待って、テンションって何…?」という人は「テンションについての解説」の記事を参照してみてください。

五線譜で見ると、こんな感じ。
ここまで積み上げてきたコードに、更にテンションが重なっています。

指板上でテンションコードを表すと、こんな感じ。
これまでのルールと同じように、( )内で指定された音を組み込んだ構成になっています。
コードの仕組み まとめ

4つの枠のおさらいです。
① 主音が入る枠
ここで指定された音をルートにしてトライアドを作ります。
・Root, M3rd, 5thの音を重ねます。
② mが入る枠
mがついたら、トライアドの3rdの音を♭させます。
③ 数字が入る枠
指定された数字を足します。
・7th=マイナーのVII度
・△7th=メジャーのVII度
④ 追加指示が入る枠
( )内の指示に合わせて更に音を上乗せします。
・(♭5)ならV度の音を♭させます。
・(9)(11)(13)ならテンションを付加します。

以上がコードの構成音の仕組みになります。
この記事の内容さえ理解できていれば、どんなコードが出てきても無双できます!
一度ルールを覚えてしまえば、難しいコードも怖くありません!
楽器を片手に何度も読み返して、コードの仕組みを身につけましょう!
「指板上のコードトーンの位置を覚える」の記事で更に詳しく解説しているので、より突っ込んで勉強してみたい方はこちらも合わせて読んでみてください。
おまけ: コードを理解する練習
この記事の内容がしっかり理解できたかを確認できる練習方法を、最後にひとつ紹介します。
コードネームを見ながら、その構成音を弾いてみよう!
いろんなコードを見ながら、指板上の構成音の位置を確認してみましょう!