
こんにちは、ベース講師の和明さん(@KAZUAKI_virgiL)です。
Twitterからの質問です。
コード譜を見ながら、まるで言葉を話すようにスラスラとスケールを選んで演奏するプレイング。
憧れちゃいますよね!
この3点をクリアしたら、いよいよアドリブの第一歩です!
それぞれの小節上で使用できるコードを分析して、演奏してみましょう!
バンドスコアや耳コピで弾けるようになったフレーズに、自由にアレンジを加えることもできるようにもなります。
一緒に順を追って勉強して、音楽の幅を広げましょう!
ダイアトニックコード上で使えるスケールの分析方法について
演奏に使えるスケールを導き出すためには、最初に楽曲を大まかに分析(アナライズ)する必要があります。
今回の記事では、Bart HowardのFly Me To The Moonを題材にして解説していきます。
新世紀エヴァンゲリオンのED曲でおなじみ!
初心者の練習にはぴったりの楽曲です!
分析の手順は大きく分けて3ステップ。
- 曲のキーの分析
- ダイアトニックコードの度数の分析
- 使用できるスケールの判断
という3つの工程が必要になります。
順を追って解説していきますが、慣れてくると3秒以内に楽曲の分析をすべて終わらせることができるようになります!
曲のキーの分析

まずは「ダイアトニックコードから曲のキーを分析してみよう!」の記事で勉強した法則をもとに、楽曲のKeyを分析します。
上のコード進行表を見ながら、Fly Me To The MoonのKeyを判別してみましょう。
【補足】
ー(マイナス)はm(マイナー)のこと!
△はM(メジャー)のこと!
φ(ハーフディミニッシュ)はm7(♭5)のこと!
関連記事: ▶︎【コードの読み方について】初心者向け!コードネームを理解しよう
- メジャー系のコードはC△7, E7♭9, F△7, G7, A7。
- 全音の関係で隣り合ったメジャー系のコードはFとG、GとA。
- 全音の関係で隣り合ったマイナーのコードはDm7とEm7のみ。
- 7thコードはE7, G7, A7。
- m7(♭5)コードはBm7(♭5)のみ。
簡単に分析してみました。
この条件をおおよそ満たすKeyはC(もしくは平行調のAm)になります。
ノンダイアトニックコード(ダイアトニックコード以外のコード)が混ざっているので、少しだけ分かりにくかったかもしれませんね。
このような場合には「だいたい合致するKeyをとりあえず想定してみる」という戦略をとりましょう!
音楽理論をより深く勉強していくと、ノンダイアトニックコードについてもしっかり分析できるようになってきます!
ダイアトニックコードの度数のアナライズ

楽曲のKeyが分かったら、今度は各ダイアトニックコードの度数(ディグリー)を分析します。
最初はKey=Cのダイアトニックコードを書き出して、コード進行表と照らし合わせながら見てみると分かりやすいと思います!
Keyの主音から見た各コードの度数はこんな感じ。
青文字はノンダイアトニックコードになります。
E7♭9とA7はどちらもセカンダリードミナントという音楽理論で無理やりねじ込まれたコードになります!
おしゃれにコードを繋ぐためのアレンジですね。
この記事の中では、難しいことは考えなくても大丈夫です!
使用できるスケールの判断

各コードの度数が判明したので、最後に「ベーシストのためのチャーチモード」の記事で勉強した7種類のモードスケールをそれぞれのダイアトニックコードに当てはめてみましょう。
- Ⅰ度 … イオニアンスケール
- Ⅱ度 … ドリアンスケール
- Ⅲ度 … フリジアンスケール
- Ⅳ度 … リディアンスケール
- Ⅴ度 … ミクソリディアンスケール
- Ⅵ度 … エオリアンスケール
- Ⅶ度 … ロクリアンスケール
これでコード上で使用できるスケールを割り出すことができました!
セカンダリードミナントでねじ込まれた7thコードには、今回はミクソリディアンスケールを使用します!
E7には♭9の指定がついているので、余裕があればミクソリディアンスケールの2度を半音さげてあげるとなお良し!
「オルタードスケール」や「ハーモニックマイナー・パーフェクト5thビロウスケール」の知識がある方は、ミクソリディアンスケールの代わりに使用してもOKです!
ダイアトニックコード上でスケールを弾いてみよう
コードの上で使えるスケールが分かったら、まずはゆっくりなテンポからスケールをなぞってみましょう!
例として、前半16小節のTAB譜面を用意してみました。
ポジションはとわないので、まずは小節ごとに対応するスケールを演奏できるようになりましょう!
- 指板上のルートの位置
- ルートから見た各音の度数
- ルートの音はKeyの何度の音なのか
この3点をしっかり確認しながら演奏するのがポイントです!
1小節に2つのコードがある場所では、
1,2拍目は前のコードに対応したスケールを、
3,4拍目は後ろのコードに対応したスケールを(自然につながる音から)弾いています!

8ビートでスケールを演奏すると、頭拍で1度・3度・5度・7度のコードトーンを、裏拍ではテンションノートを踏むことになります。
スケール内の音を使ってフレーズを作ってみよう
じゃじゃん。
フレーズ内の音を使ってフレーズを演奏してみた例です。
ベースラインだけで聞いても、しっかりコード感のある音使いになっているのが分かると思います。
最初からいきなり即興でメロディラインを作るのは難しい業だと思います!
慣れないうちは、スケールをなぞる練習から始めてみましょう!
頭の中で見えている指板上のルートの位置と度数を、小節ごとに切り替えられるようになることがまずは何よりも大切です!
何を弾いたらいいか分からなくなった場合
緊急回避方法もあわせて伝授しておきます。
- 頭の中の処理が間に合わない場合
- どのスケールを弾いたらいいのか分からない場合
- 分析できないノンダイアトニックコードが出てきた場合
こんなときには、
- コードトーン
- ペンタトニックスケール
を使って対応してみましょう。
この2つで、だいたい何とかなっちゃいます!!
メジャー系コードの上ではメジャーペンタ、マイナー系コードの上ではマイナーペンタが使えます!
まとめ
今回の記事では、ふだん頭の中で行っている処理を段階を追って丁寧に解説してみました。
耳が鍛えられてくると、コード進行表がなくてもKeyやコードの度数が感覚的に分かるようになってきます。
まずは、
- 曲のキーの分析
- ダイアトニックコードの度数の分析
- 使用できるスケールの判断
この3つの工程に慣れるところから練習してみましょう!
スケールを勉強するだけではアドリブは弾けない
ダイアトニックコードに対応するスケールを導き出せるようになっても、
- フレーズ
- リズム
- ダイナミクス
この3つの要素を正しく使いこなせないと上手にアドリブで演奏することは難しいと思います。
「アドリブの正しい練習方法とは?」の記事で、ぜひアドリブについて勉強してみてください!
今よりももっともっと音楽の世界が広がるはずです!